雨上がりの空は、

まだしっとりと湿っていて、

どんよりとした雲が

ゆっくりと流れている。

そんな静かな朝を迎えた

かこがわ食堂の引き戸が、

今日も朝早くから開け放たれた。

 

湯気とコーヒーの優しい香りが、

店いっぱいに広がり、

常連客の顔がほころぶ。

 

カウンター席には、

いつものように

新聞を広げたおじいさんが、

熱いコーヒーをすすっている。

 

奥のテーブル席では、

近所の主婦たちが、

出来立ての卵焼きを

つつきながら、

他愛ない話に花を咲かせている。

 

そして、今日は少し特別な日。

 

昼前になると、

店の賑わいは一層増した。

 

顔見知りの男たちが、

次々と暖簾をくぐってくる。

 

皆、どこか懐かしそうな、

それでいて

少し寂しげな表情をしている。

 

年に一度、この日に集まるのは、かつてこの

かこがわ食堂で働いていた

仲間のためだ。

 

彼の名は、

皆の心に深く刻まれている。

 

独立という夢を追いかけ、

ここで腕を磨いた彼は、

仕事以外でも、

全国にその名を知られた

存在だった。

 

熱い情熱と

誰からも好かれる人柄で、

多くの人々を惹きつけた。

 

彼が長年主催してきたイベントは、かけがえのない思い出を人々の心に刻み、今も色褪せることはない。

 

「いやあ、今年も集まれたな」

 

「元気そうで何よりや」

 

そんな言葉が交わされる中、

料理が運ばれてくる。

 

湯気を上げる味噌汁、丁寧に焼かれたハンバーグ、

ほかほかの白米。

 

どれも、かこがわ食堂

の変わらない味だ。

 

「そういえば、去年なくなったかつめし、復活するらしいで！」

 

常連客の一人が、

嬉しそうに声を上げた。

 

「ほんまかいな！

あれ、美味しかったのになあ」

 

「ステーキ肉は

無理みたいやけど、

豚とか鶏のかつめしが、

新しいメニューに

加わるらしいで。

どろかつめしって

いうのもあるみたいやぞ」

 

「へえ、そりゃ楽しみやな！」

 

かつめしの話題で、テーブルのあちこちから明るい声が上がる。

 

昨年、材料費の高騰で惜しまれながら姿を消したご当地メニューの復活は、皆にとって嬉しいニュースだ。

 

かつての味を懐かしむだけでなく、新しい味への期待も膨らむ。

 

彼がこの店で過ごした日々、

共に笑い、励まし合った思い出。

 

そして、

新しいかつめしへの期待感。

 

今日も、かこがわ食堂は、

そんな様々な想いが交錯する、

温かい場所となっている。

 

気心知れた仲間たちが集い、

思い出を語り合い、

そしてまた新たな記憶を

刻んでいく。

 

雨上がりの曇り空の下、

かこがわ食堂の賑わいは、

いつまでも

続いていくことだろう。

 

※ストーリー、登場人物は脚色してます。画像はイメージです。

 

加古川人の応接間

 

かこカフェ　かこバル

かこがわ食堂

 

JR加古川駅南に車で5分

駐車場40台 客席71席

兵庫県加古川市加古川町粟津90-2 

 

tel 0794262622

9:00~21:00

 

●アクセス方法

加古川バイパス加古川インターを南へ。大川町交差点を左折。加古川駅前東交差点を右折南下。粟津交差点を越え200メートルで左側にかこがわ食堂はあります。

明姫幹線からのお越しならば、鶴林寺西交差点を北へ。

北在家交差点を越え交番を通り過ぎてすぐです。

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